Ayn Rand Says(アイン・ランド語録)

第23回 税金は徴収されるものではなく喜んで払うもの?(その1)  [11/23/2008]


In a fully free society, taxation--or, to be exact, payment for governmental services---would be voluntary. Since the proper services of a government---the police, the armed forces, the law courts--- are demonstrably needed by individual citizens and affect their interests directly, the citizens would (and should) be willing to pay for such services, as they pay for insurance. (“Government Financing in a Free Society” in The Virtue of Selfishness: A New Concept of Egoism)


完全に自由な社会において、税金とは、正確に言えば政府が提供するサーヴィスに対する支払いである。だから、それは<自主的な>ものとなるであろう。政府の適切なサーヴィス、つまり警察と軍隊と裁判は、個人の市民に必要であることは明らかであり、市民の利益に直接的な影響を与える。であるから、市民は、それらのサーヴィスには、保険の掛け金を支払うように、進んで金を払うであろう(するべきである)。

★以下に書くことは、オトナなら誰でも知っていることです。しかし、まだ若いみなさんは、ご存知でしょうか?あなたたちがアルバイトで得る金額は、あなたが稼いだ金額から、源泉徴収(前もって、さっぴいてあること)によって、アルバイト料の10パーセントが所得税として、差し引かれたものであるということを。

★さらにご存知でしょうか?あなたの収入が年間103万円以内ならば、居住区の税務署に行って確定申告(毎年2月16日から3月15日までの1か月間)するか、インターネットで開いた申告用紙に記入して送信すれば、所得税として差し引かれたものは、すべて還付されます。申告して、しばらくしてから、あなたの銀行口座に返金されます。

★さらに、さらにご存知でしょうか?あなたが勤労学生(アルバイトをしている学生はみな勤労学生で)ならば、その収入が年間130万円以内ならば、確定申告すれば、さっぴかれた所得税は還付されます。ただし、年収130万円を超えれば、学生さんであろうと、税法的には「(保護者の)被扶養者」ではなくなります。「独立採算」の経済的に自立した人間とみなされます。親御さんにとって、あなたが「扶養家族」でなくなれば、親御さんが支払う税金は多くなりなす。

★あなたのお母さんが、パート労働をしていらっしゃる場合には、多分、年収130万円以内になるように労働時間を抑えていらっしゃるかもしれません。なぜかといえば、130万円を超えると、お父さんが給与所得者の場合、「配偶者控除」がなくなり、お父さんの支払う所得税が増える可能性があるからです。

★税務署に確定申告するためには、あなたのアルバイト先から「源泉徴収表」(給与明細書ではないですよ)を発行してもらわねばなりません。その書類がなければ申告できません。確定申告時期が近くなると、まともなアルバイト先ならば、あなたの住所に送られるか、あなたに手渡されるはずです。ですから、源泉徴収表は捨ててはいけませんよ。

★なんで、こういうことになるかといえば、「必要経費」というものを考えて、国税庁 (=政府)は所得に、いくら税金(所得税)かけるかを考えるからです。何につけても、所得を得るについては、最低限の「必要経費」というものが、かかります。裸のままで働くことはできませんから着るものが必要です。労働するには、前もって何か食べて飲んで、どこか雨露がしのげる場所に居住する必要があります。この「必要経費」を、「控除」と言います。「こうじょ」と読みます。

★誰にもあてはまる基礎控除額は38万円です。給与所得控除は65万円です。38+65=103で、だから年収103万円までは、税金はかからないのです。それに加えて、勤労学生控除は27万円です。38+65+27=130になります。だから学生さん(高校、大学、専門学校、大学院とか)の場合は、控除額は130万円です。だから、年収130万円以内ならば、大学生でアルバイトしているあなたが所得税を払う必要はないのです。

★給与所得が年収180万円以下の方々の「給与所得控除」は、「収入金額X40パーセント」です。年収180万円から360万円までは、「収入金額X30パーセント+18万円」が控除額です。年収360万円から660万円までは、「収入金額X20パーセント+54万円」が控除額です。

★年収660万円から1000万円までは、「収入金額X10パーセント+120万円」が控除額です。年収1000万円以上の場合は、控除額は「収入金額X5パーセント+170万円」です。これだけは、「必要経費」として認めてあげましょう〜〜ということで、収入から前もって、これだけの額が引かれたあとの額に所得税と住民税が、かかります。

★給与所得者には、「給与所得者の特定支出控除」というものもありますが、煩雑になるので、ここらあたりは、テキトーにネット検索してください。

★「控除」には、他にもいろいろあります。「給与所得控除」や「給与所得者の特定支出控除」ばかりではありません。「寄付控除」というのもあります。政府が認めた団体に寄付した金は控除対象になります。年収130万円以内の学生さんが、アルバイトをして得た金から、たとえば、「フォースター・プラン」とかのような組織に、発展途上国のガキが小学校に行けるようにと毎月5000円寄付したら、1年間に寄付した6万円は、まるまる返ってきます。寄付した額よりも多く返ってきます。

★「医療費控除」「扶養控除」「住宅ローン控除」「配偶者控除」(これは、もうなくなる)というのもありますよ。「扶養控除」は、さきにちょっと言及しましたね。子どもとか無年金とか年金額の少ない親御さんを扶養していると、「必要経費」が、ひとり38万円は認められます。ここあたりも、テキトーにネット検索してください。

★私が、結婚して、まず最初に勉強したのが、「カネ」のことでした。銀行業務とか保険とか税金のことを書いた本を数冊買って読みふけりました。半年間ほどは、某マネー雑誌を毎月購入して、丹念に読みました。結婚前に、亡き父が、「経済の苦労は、人間が死ぬまでついてまわる。カネの問題から逃げることはできない」と私に言ったので、そうしたのです。

★で、マネーに関する勉強をしながら、私は仰天しました。この世の中のカネの仕組みのややこしさに。経済学部や経営学部にでも入っていたら、常識の基本である事柄に私は全くの無知でした。ここが、文学部などに入ってしまった人間の哀しいところです。

★なかでも仰天したのが、「税金」についてです。「税金は、こんなにも沢山の種類があるのか!」と。源泉所得税、所得税、住民税、譲渡所得税、相続税、贈与税、印紙税、酒税、法人税、固定資産税、自動車税・・・(今では、消費税が加わった)

★「控除」の種類の多さにも驚きました。国税庁って、「意地悪なんだか、親切なんだか、わからないな」と思いました。今では、「要するに自分たちの仕事を増やして、権限を多くしたいだけなんじゃ。官庁界でのプレゼンスを高めたいだけなんじゃ」と思っていますが。

★ともあれ、なにごとも実践が大事なので、私は「確定申告」というものも、してみました。いろいろ「控除」を試みたわけです。払いすぎた税金を取り戻すぞ!というわけです。税務署は、確定申告の季節は、いつも混雑します。延々と待たねばなりません。そして、申請書類の書式は、ややこしく、分かり辛いです。私は、よく書き損じました。当時は、まだインターネットなんてものは、影も形もありませんでした。

★しかし、ああも、ややこしく面倒くさいと、何につけても、申告なんかしたくなくなります。市民に税金を考えることを諦めさせるために役人が故意にややこしくしたのだなと、どうしても思えるような、ややこしさです。税理士さんに依頼すれば簡単ですが、税理士さんへの支払いの方が、還付金よりも、はるかにカネがかかります。就職すると、勤務先の経理課や人事課で処理してくれるんで、かなりラクですが、払いすぎた税金を取り戻すぞ!という気概が欠けてきます。

★要するに、私が何を言いたいかといえば、「税金とは何ぞや?」と考え始めることが、ふつーの日本人にとって、日本の経済や政治を考えるいい契機になるということです。学生のみなさん、まずは、税金のことから勉強してみてください。そうすれば、この国のありようが、少し見えてきます。

★ところで、あなたは国民年金の保険料を支払っていますか?20歳すぎると毎月払い込むのですよ。就職すれば、給与から差し引かれますが。学生の期間は、届けを出せば猶予はされますが。これは、あなたがアルバイトをしていなくて所得がなくとも、課せられる税金のようなものです。

★つまり、社会保険の掛け金は、実は税金です。何のために使われているのか、わけがわからない税金です。「保険料」として徴収はされても、ちゃんと保険として機能しているのか、わけがわからない状況です。保険の掛け金ならば、満期になったら返ってくるとか、掛け金の何倍かの金額になって、保険金がおりますが、私たちや、あなたたちが払い込む「社会保険料」に、その保証はありません。

★ともかく、国(政府)は、国民の収入は国のものだと思っています。国民のことを、この国の自然資源だと思っています。「自然資源」ですよ。「資産」ではないですよ。「資産」は、使えば減るので、気をつけて使用しなければなりません。「自然資源」は、国土がある限り、自然に生成されるものだから、生成されたものは、どんどん使えばいいと、国は思っています。国の「自然資源」が生産したものも国のものだから、好きにしていいと思っています。確信犯的に思っているのではなく、無意識にそう思っているので、まったく罪悪感がありません。

★しかし、実際は、「国(政府)」というものはありません。実体としての「国(政府)」なんてありません。自分たちのことを「国(政府)」と称する人々がいるだけです。ある種の政治家や役人や、彼らと結託した利権団体が、自分たちのことを「国(政府)」と言うのです。しかも、当事者(責任主体)意識もなく。

★アイン・ランドは、「 税金とは、正確に言えば政府が提供するサーヴィスに対する支払いである。だから、それは<自主的な>ものとなるであろう 」と書いています。みなさん、こういう発想があるのです。こういう発想をするのが、近代民主主義国家の国民です。税金というものは、無理に、いやいやながら徴収されるものではないのです、本来は。政府という国民が権力を委託している統治機関の仕事への支払いが、税金というものなのです、本来は。きちんと仕事しないのならば、払う必要はないのです、本来は。

★この回は、まだ続きます。楽しいことばかり考えていると、楽しくはありますが、脳が萎縮します。視聴者の劣等感を決して刺激しない「馬鹿」であることを売りものにしている(プロの話芸や話術を身につけていない)「天然系タレント」さんたちは、馬鹿を言い&馬鹿をすることを仕事にしているうちに、ほんとに考えなくなって、脳が萎縮します。だって、私が高校生や大学生のころに、大いに人気を博していた(アマチュア臭さを売り物にしていた)フォークソングの歌手たちは、同世代の別ジャンル系歌手よりも、老け具合がひどいですからね。テレビに出るような顔じゃない。馬鹿素人は老化が早いのです。プロは老けません。はい。

★ともかく、ときどきは、思いっきり、いや〜〜なことを考えましょう〜〜♪そのストレスに耐えましょう。脳に負荷をかけて脳を鍛えましょう〜〜♪カネの問題は、人間の脳を鍛えさせるために、神様が設定したゲームかもしれません。人間のありようの質は、カネの使い方にあらわれます。同じく、政府運営資金の調達のありようこそが、その政府の質を決めるのではないでしょうか。


管理人より---主宰者の税金情報には、誤りがあります。

私は人事給与システムの仕事を専門としているので一応指摘させて頂きますと、 配偶者控除が適用されなくなるラインは130万ではなく103万です。 基礎控除38万と給与控除65万の合計103万が一般的なパート収入には適用されます。 配偶者控除以外に配偶者特別控除というものもあり103万以上〜141万未満までは 収入に応じて段階的に基礎控除満額の38万から減額した金額を控除してもらえます。 パート収入で130万を超えると問題になってくるのは健康保険に関してです。 130万を超えてしまうと夫の健康保険の扶養から外されてしまい、自分の会社の健保か 国民保険への加入が必要になり別途保険料の納付が発生しますので結果的に収入が減ってしまいます。 また、配偶者控除廃止については2007年に廃止の議論はありましたが とりあえずは見送られており、現在において将来的な廃止が確定しているわけではありません。