アキラのランド節

政治ドラマ! [11/19/2001]


秋に始まった日本テレビの『レッツゴー永田町』が、視聴率で苦戦しているらしい。ええ〜?!と驚いた。私が、今秋、楽しみに見ているテレビ番組は、これだけです。どうして視聴率が出ないのか??不思議だ。面白いよ、あれ。しかし、私はここで日本人視聴者の水準の低さなど指摘することはしません。テレビドラマなんか熱心に習慣的に見ていられるやつなど、暇もてあましている人々であります。はっきりいって、落ちこぼれの若者に、なるたけ家族に迷惑かけないように死ぬことしか仕事がない老人に、ろくな料理も作らずに亭主に寄生する「老人と乳幼児かかえていない」専業主婦ぐらいなもんだ。いまさら、テレビ番組批判なんかしてもしかたない。どうでもいよ。だけど、政治ものは人気がないということには驚いた。この期に及んで、ほかに何が面白いというの??9月11日以降は、日本人も変わった!と思っていたのになあ。まだ、まだ私の人間認識は甘いね。まあ、いいか。日本人二割さえ頭が確かならば。あと八割の日本人は、くだらんテレビでも見ていればいいよ。洞窟で身を寄せ合ってじっと炎を見ていた原始人家族みたいなもんだよね、今だって大方は。

私は高校の古文の時間に『源氏物語』やったとき、なんでこんなもんが「世界に誇る日本の名作」なのかわからなかった。あそこに出てくる女性のリストは、現代女性にも適用できる類型に満ちていて面白いとは思うけれど、だから何?というようなものだ。何よりも光源氏という帝の息子が、しょうもない。夜這いばかりしている。レイプばっかりしている。金持ちの妾の息子が浪費しているという趣。「大義」に目覚める前のビン・ラディンかしらね。一応、平安時代の宮中も権謀術数あり、領地争いあり、強力な後見獲得の競争ありだったろうから、そのあたりの男の生き残りなんかの相が書いてあれば面白いと思えたのに。行間を読めば、わかる?カルチャー奥様にしか通用しないよ、そんな書き方。その点から見て、『平家物語』は面白かったです。「やはりね、敵の大将の息子たちなんぞ、徹底的に殺しておかないとね。情にかられて救ってはまずいよ。」とか、「中小企業も三代は続かない、三代続けば大企業になるとか聞くけど、こういう具合に二代目や三代目は駄目になるわけか」とか、「平家の落ち武者が流れてきて作った村という伝承は尾張にもあるが、この平ぺったい濃尾平野は隠れ里にはならんだろう」とか想像するのは楽しかった。朗誦しても、あの文の調子は素晴らしいし。

大学院生時代に読んだ塩野七生の『ルネサンスの女たち』は、政治と女という観点から非常に新鮮で学ぶところが大きかった。男たちの権力闘争の中で、男たちの交換道具・政略道具になるだけの女もいれば、人質に子供を差し出しては裏切り、子供が殺されても平気で、「子供などいくらでもここから生める。そのために生むのだから」と自分の下腹部を指さして言い切って領地を守る女傑もいた。極限状況になったら、いざとなったら、男も女もないよ。男が女を守るなんてこともないし、女が優しく平和的ということもない。安保条約なんて究極は当てにならん、と唐突に思ったのはあの本のせいだ。中国の則天武后と西太后とかの話も面白かったし、ステファン・ツバイクの評伝だったかイングランド女王エリザベス一世とスコットランド女王メアリー・スチュワートの闘争も面白かった。スコットランドの統治者なのに、このメアリーって全然政治センスがない。やることなすこと無用心で行き当たりばったりで、つまらん男たちばかりに関わるし、だから(男の)伝記作家にはこの「悲劇の女王」は人気がある。こういう点、ダイアナ元妃とメアリー・スチュワートは、よく似ている。あそこまで上流階級の女が、貧乏な中流階級の女みたいな感情に振り回されていた。未来の英国の女王なんだから堂々としていればいいのに、その立場を利用しながらできることはいろいろあるのに、日本の3DKの賃貸マンションの人妻みたいに「愛が欲しい」とほざいていた。(未来の)女王が何を言ってるんだか。善悪の彼岸に生きながら、民衆には倫理が王冠かぶったみたいな顔を臆面なくしてみせるのが、華麗なる偽善やるのが、女王という立場だろうが。亭主に女なんか何人いたって構わないよ、まったくあの女性は頭が悪すぎた。志が低すぎた。ダイアナ元妃の事故死(暗殺?)のときの英国のヒステリーに、「あ、英国も終わった」と思った。でも息子二人生んで遺伝子だけは残したから王室での仕事は、ちゃんと果たしたよね。この点も、ダイアナとメアリーは似ている。結局、今の英国王室の血脈はメアリーの息子から発しているから。あの王子様たちは、母親に似て頭が悪そうだけれども、そこは、妃に優秀なのつけて何とかすればいいよ。ダイアナに面影とスタイルだけ似た頭脳明晰なのをね(この文がUPされる頃には、雅子妃が皇太子を生んでいらっしゃるかも。親王ではないのではないかな?ともかく優秀なお子さまを頼みます。未来の日本最高の外交官におなりになるのが運命の方ですからね)。

要するに、私は政治ドラマが見たいのよ!!司馬遼太郎的英雄の話ではなくて、NHK大河サムライ・ドラマ的ホームドラマ風味でふやけたものではなく、もっと事実に近い政治ドラマが!パワー・オブ・バランスにのっとった事実認識と歴史感覚と情報が豊かな究極の人間闘争ドラマが!『レッツゴー永田町』の視聴率の低さは、日本人の民度の低さの指標か、もしくはこれ愚民政策の一環たるガセネタか?