アキラのランド節

最近むかついたこと(前編)  [11/07/2009]


久しぶりに家でのんびりの土曜日です。洗濯物がよく乾く快晴の秋の日です。

昨日の金曜日の夕方、カナダのマニトバ大学から来た交換留学生のシリア(Celia)とマイク(Mike)と、桃山学院大学から歩いて10分のところにある懐石料理店で食事をしました。マニトバ大学(Manitoba University)ってのは、カナダはマニトバ州の首都のウイニペグ(Winnipeg)にあります。ウイニペグは、カナダの南部の真ん中に位置します。ウイニペグ湖を渡リ、南下すれば、そこはすでにアメリカ合衆国です。

シリアとマイクと出かけた懐石料理店は小さいながら、お料理は美味しいし、マナーも良いので、繁盛しています。お店のご主人の方針は、「大きくすると目が届かないので味も荒れるし、金勘定に追われる」で、あります。ですから、このお店には、最高14名のお客様しか入れません。

桃山学院大学には、授業料免除の交換留学生は80名弱、私費留学生は250名くらい在籍しています。私費留学生は、だいたいが中国とか韓国とか台湾からとかの主に東アジアから来ています。交換留学生は、東アジアのみならず、インドやベトナムなどの南アジアや、ヨーロッパ諸国や、ロシアやオーストラリアやカナダやアメリカから来ています。提携先の大学がある国々は、45カ国ぐらいです(もっと、あるかもしれませんが、よく知りません)。

これだけ狭くなった世界とはいえ、外国って、やはり、その外国に行くか、その外国の生身の人間に触れてみないと、その外国の存在がピンときません。その外国の存在が腑に落ちません。映画とかTV番組じゃダメです。E-メイルでも駄目です。やはり、生身の実体のヒトに会ってみないことには。

2007年の春に、「この忙しいのに、いやだなあ・・・」と最初はいやいやながら引き受けた交換留学生のアカデミック・アドヴァイザーでしたが、今は、なんてありがたい機会をいただけたのだろうか!と、感謝しています。

私は、小学校の通知表には、いつも「積極性がない」と書かれたくらいですから、基本的には受動的な人間であります。自分から意欲的に何かするタイプじゃありません。人生で、私が本気で積極的になったのは、アイン・ランドのことぐらいです。あとは、「仕事だから、しかたないから、やる」程度の人間です。

「仕事だから、しかたないから、やる」人間は、仕事は何でも引き受けたほうがいいのです。でないと、何もしませんから。

仕事だから引き受けた交換留学生のアカデミック・アドヴァイザーでありましたが、これは、想定外に実においしい仕事でした。だって、わざわざ、その外国に行かなくても、「飛んで火に入る夏の虫」で、外国の若い人たちを、堂々と、いじっていい立場になることができるのですから。ははは。

今まで、いろいろな留学生さんに会いました。

知的好奇心がすごくて頭が良くて礼儀正しくて、怖いくらいに端正な顔立ちばかりのインドの学生さん。2年間(3年間だったかな?)の兵役を終えて留学してきた男前の韓国の学生さん。中国語を教えるアルバイトではりきっていた上海からの可愛らしい学生さん。温かい雰囲気を漂わせた礼儀正しく知的な台湾の学生さん。

敬虔なカトリックでフランス人大嫌いな、ローソンの「おでん」が大好きで、非常に批評眼のあるポーランドの学生さん。陽気なカトリックでフランス人大嫌いな、お酒飲みのイタリアの学生さん。「新撰組」オタクで博士論文は日本のアニメで書くつもりのオーストリアの学生さん。クール・ビューティのオランダの学生さん。ちょっと昔の日本人に感じが似た礼儀正しく生真面目なドイツの学生さん。神秘的超美女のロシアの学生さん。スタイリッシュなフランスの学生さん。猛烈陽気だけど礼儀正しくチャーミングなインドネシアの学生さん・・・

私は、大いに勉強させてもらいました。

若い人を見ると、その若い人の国の未来が見える・・・などとは、ほんの少数の若い人しか見ていない立場では言えません。しかし、やはり、若い人々の姿勢をとおして、彼女たちや彼らの国を想像してしまいます。

やはり、インドや中国やインドネシアや台湾や韓国の活気にあふれた学生を見ると、やはりこれからは「アジアの時代」だな、と思います。

せっかく日本に来たのに、なにやら漂流しているみたいな日本語の勉強にも熱がない類の学生を見ると、その学生が、たまたまフランス人だったりすると、「やっぱり、ヨーロッパは元気ないのかな。人間に活力がないよな。フランスって、その代表かな」と、思います。

でも、ポーランドから来た元気な学生を見ると、「EUと、十把一絡げには言えないな。東欧は、これからだな」と思ったりします。

ともかくも、私は、交換留学生のアカデミック・アドヴァイザーになると、まずは、大学から歩いて10分のところにある、その懐石料理店に連れて行きます。これは、「テスト」です。ここでの態度を見れば、その留学生の質が把握できるので。

異文化の食べ物に挑戦できるか、食べるときのマナーはどうか、悪びれずにスマートに人の厚意を受け止めることができるか、楽しいおしゃべりの交換ができるかどうか、話の内容は何を選ぶか、お店の人にお礼が言えるかどうか、ともかく日本の事物にほんとに関心があるかどうか・・・

そのあたりを見て、「あかんわ・・・」と思ったら、まあ、一回ぐらい奈良に連れて行こうか、それでいいや・・・で終わります。

「いい子だ!!」と感動すると、伊勢神宮に行かない?歌舞伎に行かない?私のクラスに来てなんか話してくれない?と、なります。

さいわい、今までのところ、ほとんどの場合は、交換留学生は、きちんとした人ばかりでした。しかし、今回のカナダからの留学生は「究極」であります。トリプルAやね。格付け最高。

だって、この、まだ20歳になったばかりのカナダのふたり、食事に誘ったら、ちゃんと待ち合わせの時間どおりに来ました。当たり前?いえいえ、テキトーに時間にアバウトなのは多いのです。日本人学生でも、留学生でも。

しかも、きちんとした格好でやって来ました。マイクはスーツ着て、シリアはシックなドレス着て。シリアは品のいい美人です。ドレスだと一層に素敵です。いつでもどこでも、Tシャツにジーンズですますのは、若い学生だけに許された特権かもしれませんが、やはり、きちんとした格好でいれば、お店の人の態度も違ってきます。

ふたりとも、出された料理はみな綺麗に楽しそうに行儀よく食べてくれました。「お味噌汁ではない、このようなスープは何と言いますか?あ、オスイモノですね?」とか、「このドレッシングには、ヒチミトウガラシはいっていますね?シソと、よく合っています」とか、「実にデリケートな味だ!」とか、いちいち、そのコメントが適格です。

日本酒の味が気に入ったようだから、「焼酎って飲んだことある?」と、麦系焼酎を勧めてみました。これも気に入ったようでした。ついでに、マンハッタンのセレブに大人気のニュータイプ(フュージョンと言うのか)の日本料理レストランNobuの経営者が開発したワインみたいなフルーツっぽい爽やかな味の日本酒をすすめたら、ひとくち飲んで、「うわあ…信じられない!すっごくおいしい!」と瞳を生き生きと張って、言っていました。

西京みそに漬けた鰆(さわら)の焼いたものが特にお気に召したようです。懐石のコースとは別に出してもらった鯵(あじ)のカルパッチョも大いに気に入ったようです。

私は、食べ物に好き嫌いは全くありませんが、アルコールは全く駄目です。飲めば寝てしまうか、吐いてぶっ倒れます。それでいいのです。私は、飲まなくても、いくらでもハイになれます。ふつうは抑制しているだけでして、もともと、すぐに、ものすごくうるさい(noisy)です。ノリがいいのを通り過ぎて躁病気質です。自分で抑制していないと、ギャアギャア騒ぎたてる人間です。私は、かなり内面は滅茶苦茶な人間です。

ですから、私の性格でお酒に強かったら、抑制が効かず、ろくでもないことになっていたでしょう。目覚めたら、そばに知らない男性や女性が寝ているのを発見して、「ここはどこ?あなたは誰?」と驚愕(きょうがく)するのが頻繁(ひんぱん)な人生になっていたに違いありません。そういう自信あります。はい。

お酒の味がわかるシリアとマイクは、食事のマナーもいいが、話題も面白かったです。最初に会ったときにアイン・ランドの話をしたら、早速The Fountainheadを読み始めてくれていました。まだ3分の1しか読んでいないそうではありますが。

マイクは、「主人公の設計する建物のイメージが浮かんでこないです。19世紀の建築形式だっていいじゃないですか。僕は好きですよ。昔のスタイルの方が好きです」と言います。マイクのお家は、建設業だそうです。

ランドの書き方では、ロークが建てる家が頭に浮かんでこない・・・・同じことを、卒業生も言っていたな。う〜ん、フランク・ロイド・ライト設計の建物を知っているとイメージしやすいのでありますが…何しろ誰の真似でもない斬新なハワード・ローク様式だから・・・

マイクは、さらに、「アイン・ランドって環境問題には全く関心がないですね」とも言いました。あるはずないだろ〜〜♪そんな軟派じゃねーよ!あ、いや、いや・・・

私は、ひどい英語で、まくしたてました。「だいたい、自然って何?手つかずの自然なんて、自然でもないぞ。自然が自然でいるためには、ちゃんと人間の手がかかっているんだから。森が森でいられるのは、人間がちゃんと森にしているからであって、人間が関与していない森なんか、森にもなれない。自然というのは、概念でしかない。ほんとうの自然は私たち人間が想像できるようなものではないのではないか。私たちが思っている自然とは、あくまでも人工的なものではないか。それに二酸化炭素削減なんて、ほんとに必要なのか?あんなの西欧の先進国が発展途上国の台頭を抑えたいから、でっちあげているのではないか」と。

ふたりとも、実にクールに、サラリと「なるほど。それは面白い考え方です」と答えました。

あのねえ・・・反論しなさいよ・・・サラリと返されると、なんか「お守り」されたみたいじゃないの・・・されているのか。

さらに、シリアとマイクは、私に宗教は何かと質問しました。「宗教的感情はあるけれども、宗教的組織は嫌いだし、あらゆる形の集団礼拝も嫌い。でも、神のような存在がいてくれたらいいなとは思う。でも、神が存在しなくても構わない。神を想定しなくても、人間は道徳的に生きることができるから。神を信じなければ、人間は堕落するというのは、おかしい。道徳的に生きるのは、その方が人間にとって利益があるからであって、生き延びたいのならば道徳的であらざるをえない。道徳は必需品であって、神の目を気にして守るものではない。アイン・ランドの無神論は、そういうものである」と、アイン・ランドと、リチャード・ドウォーキンからぱくって、私は答えました。

そうしたら、このふたり、「わかります!私たちはクリスチャンではないのです。キリスト教に疑問を持っている人間はカナダに多いです。先住民族が多いこともあって、自然との共生を大切にするアニミズムに私たちは関心があります」と、答えるのです。

だから、シリアは(縄文文化賛美系)宮崎駿のアニメが好きです。彼女のメイルアドレスには、mononokeという字が使用されています。マイクは、なんと最近、「カミダナ」を買ったそうです。「アマテラスオオミカミ」に関心があるそうです。

何を考えとんじゃ・・・こいつら。

じゃあ、絶対に「伊勢神宮」に連行して、正式参拝受けさせて、御神楽バンドと巫女さんの踊り見せちゃうぞ。「赤福」食わせちゃうぞ。

「何かおすすめの本はありますか?フジモリセンセイが話してくれたリバタリアニズムについて検索してみましたが、僕にはちょっと難しいです。文学作品で、何か面白いものありますか?」と、マイクはさらに質問してきます。

「小説は、もう現実に追いつかないということを知るためには、アメリカのドン・デリーロ(Don DeLillo)なんか読むといいよ。UnderworldとかCosmopolisとか・・・最近作のタイトルは…あ、忘れちゃった・・ドン・デリーロは、ものすっごい才能だけれども、今は、現実のほうが小説みたいだから、小説家にとっては大変だよねえ〜〜」と私は答えました。

「何かおすすめの文学作品ありますか…」なんて学生さんに質問されるなんて、私、まるで大学の先生みたい〜〜〜♪ あ、そうなのか。

で、とどめをさされたのが、帰り道。分かれ道で、「私は名古屋に家があるんだけど、この近くに部屋を借りているの。ひと月に1回か2回ぐらいしか名古屋に帰らないけどね〜〜」と言ったら、「え?ひとりで?寂しくないですか?お子さんは?」とかいろいろ聞かれまして、ついには、「送ってゆきます。暗いから」とか言って、シリアもマイクも、私についてきました。

学生さんに送ってもらうなんて初めてだから(依頼して断られたことはありましたが)、「いいって、大丈夫だって!」と、私は抵抗したのでありますが、「このあたり知らないから、私たち歩きたいのです」とシリアが穏やかに、しかし毅然として言います。素直に、私はシリアとマイクに送ってもらいました。

で、とどめのとどめをさされたのが、その数時間後に届いたお礼メイル。こういう習慣は、欧米にもあったのか!

恐るべし、カナダからの留学生!!う〜ん・・・感動です。素晴らしい若者たちです!!とんでもない若者たちです!こんなできのいい学生さんを相手に、私にできることはあるのか?

というわけで、私の中のカナダ株は一気に上昇しました。再婚するときはカナダ人にしよう。ヨーロッパ人ほど無駄に洗練されて疲弊していないし、アメリカ人ほど、すれっからしじゃないし、非白人国家と共生できる白人国家は、カナダだな。単純に確信しました。

ちなみに、シリアにはインドネシア人のDNAも入っているそうです。顔立ちに、ちょっとだけオリエント風味があります。多分、華僑系インドネシア人のおばあちゃまとかいるのでしょう。

マイクは、曾祖父がウクライナからカナダに来たそうです。20世紀になったばかりの頃です。ロシア革命の前だそうです。カナダが北アメリカ植民地から独立国になったのは、明治維新と同じころです。ですから、独立国家になって間もなくの頃ですね。

カナダ人もいろいろだということは、わかっています。たまたま私は、できのいいカナダの若い人に出会ったのです。しかし、やはり、どんな個人を知るかということが、国の印象を決めてしまうのですね〜〜

みなさん、海外に行ったときは、言動に気をつけましょう〜〜♪あなたの心ない頭のおかしい言動で、他の日本人に迷惑がかかります。日本にいても、みっともない人は海外になど行って欲しくないですわ。老若問わず、不細工で鈍感なオッサンは輸出禁止にしましょう。

そりゃ、日本に留学してくる欧米系の学生さんは、日本に来るくらいですから、変人奇人の類です。浮世離れした(若いくせに)「文化人」の感じです。もろに、しょうもなく文学系です。いまどきの先を見る目のあるビジネス志向の現実的な子ならば、日本ではなく、中国に行くでしょうから。

事実、中国に留学するのならば、カナダ政府も奨学金を出してくれるそうです。有利だそうです。でも、日本だから、シリアもマイクも、授業料だけ免除で、あとは私費で来ています。桃山学院大学とマニトバ大学との提携では、授業料以外の奨学金は出ないということになっています。提携先の大学によって、桃山は授業料以外に月額16万円から4万円の奨学金を出しますが、シリアとマイクは、授業料だけです。

だから、彼女と彼は、ほんとうに日本に来たかったのです。奨学金もらって、日本でフラフラ遊ぼうか・・・のタイプではありません。だから、彼女と彼は、大学の国際センターのスタッフから紹介された英会話を子どもに教えるアルバイトをしています。いよいよ、小学校でも英語が必修になりますからね〜〜大阪府は和泉市でも若いお母さんたちは、子どもの早期英語教育には関心が高いです。

シリアもマイクも品が良くてお行儀もいいし、人柄もいいので、日本のガキにいい感化を与えてくれるでしょう〜〜♪

ともかく、私は、これから彼らが帰国する2010年の8月まで、遊んでもらうことにしました。はい。

さて、やっと、本題に入ります。長い長い前置きではありますが、この前置き、本題と全く関係ないわけでもないのであります。今回は前編です。

(1) 9月25日にむかついたこと
報告が大変に遅れましたが、前前回の9月19日号のランド節で宣伝させていただいた「国際フォーラム」は、おかげさまで大盛況でした。参加者が会場いっぱいに集まってくださいました。って、ここで宣伝したからってわけでは全くありませんが。 

フォーラムの中身もよかったですよ〜〜♪ご協力くださった学生さん、社会人聴講生のみなさま、ありがとうございました。

なんと、「じゃあ、この日には、藤森は確実に桃山にいるな。研究室にいなくても会場にいるな」ということで、このウエッブサイトの読者のNさんという若い可愛らしい女性が、お友だちのHさんといっしょに私の研究室まで遊びに来てくださいました!細い腕に『水源』と『利己主義という気概』を抱えて。サインしてくださいと言って・・・

大感激。こんな嬉しいことってあるの?っていう感じの大感激。

Nさんのお住まいの街は大阪でもないし近畿地方でもなく、東京に近い場所です。よくぞ、南大阪の和泉市までお越しくださいました。Nさんのお仕事はお忙しい看護師です。貴重な休日だったのに、わざわざ来てくださるとは!

ちょうど、そのとき私は、4年生の男子学生さんの公務員面接試験の練習をしていたところでした。旧就職課のキャリア・センターも多くの学生相手では手が回らないので、教員も学生からの要望があれば、面接の練習をせざるをえません。

急遽、その面接練習を中断して、私はNさんとおしゃべりに興じました。明眸皓歯(めいぼうこうし)の可愛らしいアイドル顔の女性ナースですから、患者さんにも人気がおありになるのではないでしょうか。

まあ、見端(みば)が9割でありますよ。見かけが9割でありますよ、どんな職業でも。はい。冷厳なる世間の現実。

Nさんと、彼女のお友だちのHさん(「副島隆彦の学問道場」の会員だそうです)は、私といっしょに国際フォーラムを聴いてくださいました。今だから言えますが、あそこの会場の椅子は見栄えはいいが座り心地は悪いです。すぐにお尻が痛くなります。私のようなデブで脂肪がついているお尻でも痛くなるのだから、NさんやHさんのように若いスリムな方々は、ほんとうにお尻が痛かったのではないかと、お察しいたします。お尻が切れて痔になりそうな椅子だぜ、まったく。

ついでに国際フォーラム会場にお越しのみなさんに配られた記念品の桃山学院大学の英語ロゴつきタオルも駄目でした。見栄えはいいが、水分をきちんと吸収しない類の品質でした。水分吸収の悪いタオルなんか、雑巾にもならんわ。なんだ、あれ?ろくでもないタオルを配りやがって。

ただより高いものはない。ただで貰うものに、ろくなもんはない(でも、ティッシュは貰う)。インフルエンザのウイルスみたいなもんか。

ほんとに、Nさんと、お友だちのHさんにはお気の毒でした。後で、キャンパス近くにあるカフェで、お茶&ケーキしましたが、ほんとうは夕食を御馳走させていただきたかったです。桃山学院大学の近辺にも、いいレストランはありますからね〜〜病院の現場のお話を、いろいろと、うかがいたかったです。

実は、ほんとうは、私は、公務員面接試験の練習をしてもらいたい学生に、こう言ってもらいたかったのです。「先生、僕は、今日はこれで失礼させていただきます。面接の練習は自分でやってみます。大丈夫です、なんとか自分でやってみます!先生のHPの読者の方が、せっかく来てくださったのですから、どうかご接待して差し上げてください!」と・・・

はにかみながら、ちょっと寂しそうな微笑を浮かべて、爽やかに背を向けて去っていく若者ひとり・・・

な、わけはないんだよ。

若い子というのは、自分のことだけで精一杯であります。自分が抱える不安だけが唯一の大切なことです。「こんな客のことなどテキトーに相手して、あとは、早く本来の顧客である学生の僕にサーヴィスしてくれ。面接は、明日なんだから!」と言わんばかりの態度を不機嫌に示しております。いっしょにお茶&ケーキしているのに、遠来のお客さんに何か質問してみるというようなサーヴィス精神ゼロです。LESS THAN ZEROです。

こいつ、ほんとに、空気読めないよあ・・・蹴り入れてやろうか。

あろうことか、この不機嫌学生は、唐突に、何の脈略もなく、素っ頓狂なことに、急に、「僕、最初、センセイのことを清掃のオバサンだと思っていた。なのに、教室に入ってきてカリキュラムの説明をし出したので、びっくりした。先生とは思わなかった」と発言しました。

びっくりしたのは、私の方です。だから何だというのだ?お前は馬鹿か?それがどうしたというのだ?それで笑いがとれると思ってんのか?お客様、固まっていらっしゃるるだろーが。

世の中は、あんた中心に回っているんじゃないの。あんたが、どういう育ち方をして、そーいうトンチンカンな人間になったのか私には見当がつくけれども、外部からいらしたお客様に何を言っているのか?お前って、ほんとに中学生並みだな。いや小学生でも、頭の切れるのは、もうちょっと状況を見ることができる。今は、あんたのご機嫌取りなんかしていられないの。ついでに、したくもないの。する気ないの。

しかし、この場合、いくら、やはり、幼稚KYの不機嫌中学生&頭のいい小学生にも劣る学生さん相手とはいえ、本来の顧客の授業料払っている学生さんサーヴィスのほうを優先させなければなりません。カネをもらっている仕事が優先です。やむなく、お茶しただけで、NさんとHさんとは、お別れしました。残念でした。

しかし、そのあと、学生さんの面接特訓をしながら、私の心は声にならない声で、ブチブチとぼやいているのでありました。

冗談じゃないぜ〜〜お前みたいな無神経な奴に公務員になられたら、たまんないわ。ふつーの気配りもできないで、注意力もなくて、なにが「僕は、公務員に向いてると思いまして・・・」だ。どーいう意味だ?どこが向いてるのか?そう思うのは、あんたの勝手だけど、ヘラヘラと薄笑い浮かべながら無駄口たたきの言い訳ばっかりする公務員なんか、これ以上増える必要はないんだよ!口だけ達者で責任は取らない役人なんか、これ以上増やす必要はないの!!どこの自治体に、そんな人間を税金で食わせる義務があるんだ! 甘ったれるのもいい加減にしろ!面接の練習なんか自分できでるんだよ!ふつーに礼儀正しくしていれば、それでいいの!ちゃんと相手の話に耳を傾けて、質問されたことに答えればいいの!質問されていないことをダラダラ話さなければいいの!質問の意味がわからなければ、質問の意味を確かめればいいの!

でも、私は根が優しいから、そんな本音は口に出さず、その学生さんにちゃんと有益なる助言を、しておきました。

「あのね、帰りにコンビニに寄って、グレーの眉墨(まゆずみ)というか、アイ・ブロウ・ペンシルと言うのか、今は・・・ともかく、それ買ってきて眉を延長させなさいね。眉をちゃんと描くと顔の印象がハッキリするでしょ?男らしい顔つきになる(かもしれない)じゃない?面接官には、好印象を持ってもらいたいじゃない?ねえ?」と。

それから、的確ではあるが、ちょっと立ち入った助言かも・・・と危惧もしましたが、思い切って、こう言いました。

「親御さんに歯並びの矯正を相談してみたら、どうかなあ??日本の子どもの歯並びの悪さは、日本の育児法の後進性のせいなのよ〜〜あなたの責任ではないのよお〜〜歯並び悪いと笑顔に、いまひとつ自信が持てないでしょおお?ねえ?中身は、もちろん大事だけれども、見た目も大事だからね〜〜今みたいな時代はねえ〜〜ほんと。ね?真剣に親御さんにお願いしてみたら、どうかしらね?ついでに、口呼吸も早く直さないとね、扁桃腺を腫らして、すぐに病院に行く習慣も直さないとね。そろそろ死に時なのに、どうでもいいようなことで、すぐに病院に行くお宅のオバアチャンの真似はしないように」と。

「そうやってヘラヘラ笑って、聞いたふりして誤魔化すって、どこで覚えたのかなあ??あなた、聞いてないでしょう〜〜聞いたふりして聞いてないでしょう〜〜だって、あなたの目は半分しか開いてないもの〜〜歯列矯正と、上瞼の脂肪もちょっとだけ吸引してもらうと、ぐんと男前になるよ〜〜私にお金があったらば、歯列矯正も瞼の脂肪吸引費用も出してあげるんだけどね〜〜〜♪まあ、お金があっても、そんな費用を出す義務はないけどね〜〜公務員試験に合格したら、お金貯めて、歯列矯正と瞼の脂肪吸引をしようね〜〜♪」と。

サディスト、ふじもり。

この学生さん、高校時代に学友からも、ついでに高校の教師からも苛めを受けたそうでありますが、その理由が、やっと私にもわかりました。

こいつ、むかつく。苛められる奴には、それ相応の苛めを誘発する暗い何かがある!

この学生さん、この「ランド節」のことを「文章が長いから読むのがしんどい」とかとも言っていました。長い??ながい?なあ〜があ〜〜いいい〜〜?ならば、読むな!馬鹿だね、こいつ。「先生のランド節は長くて読むのがしんどいですが、面白いですから読んじゃいます」と言えばいいのに。

成績はいいが英語が苦手の人間が公務員試験を受けると聞いたことがあるが、英語が得意だと民間企業に採用されると聞いたことがあるが、あなたは、英語のみならず、日本語も苦手のようですね。

生まれっぱなしの、言葉足らずの、馬鹿な幼稚園児みたいな中学生の物言いで、通用すると思ってすましている、その厚かましさが、むかつく。

この学生さん、「先生、僕が就職して大人になったら、先生にお小遣いあげますからね」とも言っていました。あんたに「お小遣い」もらうようになったら、私も終わりですわ(くれるならば、もらっておくけど)。その前に、可愛げのない息子を我慢して育ててくださった、あなたの親御さんにお礼を言って「お小遣い」をさしあげなさい。

ね〜〜みなさん、むかつく学生でしょう?

まあ、しかし、これぐらい無神経でKYならば、かえって安心です。その無神経とKY度の高さが、彼の防御壁となってくれるでしょうから。そのおかげで、この世を生き抜くこともできるでしょうから。短所というのは長所でもあります。無神経はタフ。言ったもん勝ちの世の中では、KYなままに言い募(つの)ったほうが利益になるかも。

それにしても、こういう「馬鹿幼稚園児自分のことだけで精一杯語彙不足表現力超不足むかつく中学生みたいな」学生さんがいるからこそ、私の教師としての仕事も保障されているのでしょう。みながみな、あのカナダからの交換留学生シリアとマイクみたいな、できのいい若者ばかりならば、私程度の教師は無用ですからね。

こーいう、むかつく学生さんと関わるはめになるということは、私の中に、そういうマイナスを引き寄せる何かがあるに違いないのです。「むかつく人間というのは、どうしてむかつくのか?何がむかつくのか?」ということを考えさせるために、彼は私の学生でいるのでしょう。きっと、彼は、私に思考と反省を促すお地蔵様の化身なのでしょう。ありがたいことでございます。ラーメン。

このお地蔵様の化身さん、11月に入ってなお卒論のテーマ定まらず、先日、「僕、野球が好きですから、野村監督のこと書きます」と言いました。アメリカ研究の卒論で、あのサッチーのご主人のこと?「楽天」の監督辞めた人?

わけわからん・・・・