アキラのランド節

最近むかついたこと(後編)  [12/06/2009]


1日は長いのに、会議は長いのに、1年は短い。あっというまに2009年も最後の月になりました。みなさま、新型インフルエンザの猛威吹きすさぶ中、お健やかにお過ごしでしょうか。桃山学院大学も、感染者は今や600名近いそうです。全学生3500名のうち600名ですよ〜〜猛威は、もういい。

私も、11月30日月曜日の夜から12月5日土曜日の昼まで寝込んでおりました。体中の節々が痛くて、頭から歯から首から肩から腰から痛みの波状攻撃があり、かつ、いくら眠っても眠り足りないぐらい眠くて、眠っておりました。

とはいえ、目が覚めると、もそもそフラフラ起きだして、冷凍食品だの、即席ラーメンだの、ふかしイモだの、おかゆだの、韮(にら)や玉ねぎを刻んで、ちぢみだの、作って食っておりました。食ったら歯を磨いて、また眠っておりました。通常ほどではないにせよ、食欲はありました。性欲はなかったです(あって、たまるか)。

だから、新型インフルエンザなんて洒落たものではなく、単なる、ふつーの風邪であったのでしょう。要するに、私はひたすら眠りたかっただけのようです。

ここだけの話なのですが、こういうみっともないことになったのは、自業自得なのです。忙しいくせに、疲れがたまっているのに、よせばいいのに、韓国の連続TV時代劇『快刀ホン・ギルドン』にはまってしまって、全24話DVDの2セットを購入して、帰宅すると一気に見るという馬鹿を数日繰り返したのでした。

昼夜逆転ではなく、昼は仕事、夜はDVD鑑賞。睡眠時間3時間の日々。

若い頃と違うって・・・・『人間の条件』1部から6部まで9時間一挙上映を名古屋は伏見のミリオン座で早朝から夕方まで一気に見て、それから家庭教師のアルバイトに行った20歳の頃と違うって。深夜上映の映画3本見てから自宅に帰ってシャワー浴びて、それから朦朧(もうろう)としたまま職場に出かけた30代の頃と違うって!

しかし、はまると先のことは考えずに夢中になる馬鹿さ加減は、56歳になっても治らない。

みなさま、これは、はまりますよ〜〜♪『快刀ホン・ギルドン』!

「怪盗」ではないですよ、「快刀」。これで正しいのです。

15世紀の朝鮮王朝の漢陽(今のソウルのこと)が舞台です。ホン・ギルドンとは、実在の人物だそうです。漢字では「洪吉童」と表記します。

ホン・ギルドンは、賄賂で蓄財する悪徳役人の財産を盗み、貧しい人々に分けます。「大泥棒が民から泥棒したものを、泥棒し返して、民に返す」ために、泥棒になります。つまり、ホン・ギルドンは、民の作り上げるものを収奪する大泥棒=悪徳権力者や、賄賂で蓄財する悪徳役人の財産を盗み、貧しい人々に分ける義賊なのです。

『肩をすくめるアトラス』に登場する海賊のラグネル・ダナショールドみたいですね〜〜♪ジョン・ゴールトとともに新生アメリカ建設をめざすダナショールドは、海外の共産化した国々に流出するアメリカの富を奪い返すために、海賊行為を繰り返しますが、そうか、あの人のことは、「インターナショナルねずみ小僧」と解釈すればいいわけか。

ホン・ギルドンは義賊として韓国史では知られた英雄らしいですが、今回のTVシリーズ『快刀ホン・ギルドン』では、ホン・ギルドンは、義賊であると同時に、革命家になっています。「王だの両班(ヤンパン)だの奴婢(ぬひ)だのという身分差別のない自由な国」を山中に仲間と作ろうとします。王の支配のない世界を作ろうとします。民が収奪されない世界を作ろうとします。そのために、王の軍に滅ぼされます。

そうです!!『快刀ホン・ギルドン』は、一種のリバタリアン韓国時代劇なのです!

かつ、現代政治に関する批判てんこもりの政治風刺ドラマでもあるのです!

ここで、その具体例を長々と書くのは、病み上がり(?)の私にはきついことです。まずは、ともかく、みなさま、実物のドラマを見てくださいまし。YouTubeでも、少しは見れますよ。

でも、ちょっとだけ、どんなことが風刺されているか書いておこう。

たとえば、隣の大国「清(しん)」の使節に王宮の高官が媚を売りまくって、「わが国の言葉も清の言葉にするべきだ」などと言い出します。また、この清の使節のオッサンが威張る、威張る。このオッサン、実はこっそりアヘンを漢陽に持ち込み、高く売りさばき、朝鮮の人々の体と脳を蝕もうとします。政治的指導者のモラルと国民の脳を崩壊させれば、属国の支配は簡単で永遠と。

この「清」とは、今の中国のことではないでしょう。アメリカのことなのでしょう。現代韓国の英語熱に対する批判でもあるのでしょう。母国語もできん奴が、何が英語じゃ。根なし草になると、悪徳金融操作ユダヤ人みたいになるぞ〜〜

また、漢陽の人気芸人たちが悪徳高利貸しの宣伝に努めるシーンは、現代韓国の人気スターがサラ金(って、韓国にもあるよね?)のCMに登場して、国民の金銭感覚を狂わすお先棒をかついでいることへの風刺なのでしょう(多分)。

日本では、キムタクや嵐が、サラ金のCMには出ていないから、まだましなのかな。

また、一時期は王に認められて官位を賜ったホン・ギルドンが、奴婢の子も、両班(ヤンパン)の子も、みな公平に徴兵して訓練して、官位を剥奪(はくだつ)されるエピソードは、これは、現代韓国における徴兵制度の不公平さをおちょくっているのだろうなあ。やはり、白洲次郎みたいにコネ使って徴兵逃れできる人々がいるのだろうなあ。

この痛快傑作政治風刺時代劇の脚本を書いたのは、ふたりの女性シナリオ・ライターです。ホン・ジョンウンとホン・ミランの姉妹です。こんな面白いリバタリアン政治風刺痛快時代劇を書いてしまうなんて、ひょっとして、アイン・ランドの読者とか?やはり、真にラディカルなのは、女性よね。

韓国でも、『肩をすくめるアトラス』はちゃんと翻訳されています。ホン姉妹が読んだ可能性は高いです。ホン・ギルドンのキャラクターって、ハワード・ローク風味も、ジョン・ゴール風味もあります。ドミニク・フランコンみたいな政府高官の令嬢、両班(ヤンパン)の高慢高飛車お嬢様も登場します。このお嬢様、「欲しいものは必ず手に入れるの。手に入らないものは壊すの」だそうです。「美しいものは、俗世に汚される前に壊す」ドミニクほど観念的ではないですね。

あのね、お嬢さん、あなたにとって本当に必要なものならば、ちゃんと与えられますよ。本当に欲しいものと、欲しいと錯覚しているものの区別が、ついていないのではありませんか?

私は韓国語版『肩をすくめるアトラス』持っています。全8巻くらいあります。ハングル文字って、小さい活字だとわけがわからなくなるから、どうしても紙幅が必要になるようです。名古屋の女子大で教えていた頃の学生さんで、京都の有名大学に編入して、韓国の大学院に留学して、大学で韓国語を教えている女性から、いただいたものであります。

最近、彼女に会ってないなあ〜〜元気かなあ〜〜あなた、生きていますか?

このテレビドラマは、本国の韓国では2008年1月から放映され、日本でも放映されていたそうなのですが、私が知ったのは先日の11月23日でした。たまたまBS朝日で再放送(毎週月曜10時から)が始まった初回を見たのでした。

で、「お・・・・面白い!!」とぶっ飛んだのでした。ロック・ミュージックで景気よく始まる時代劇です。衣装も時代考証も、わざとメチャクチャにした時代劇です。古今東西のアクション映画のエッセンスを全部使ったかのような派手なアクションがいいです。傑作です!この監督は、『ターミネーター』大好きだと、私にはわかった!

アイン・ランド風リバタリアン世界観で、かつアメリカ『ターミネーター』風アクション&中国『グリーン・ディスティニー』風アクション満載ならば、私がはまらないわけはないでしょう!!

私が、このドラマを見てぶっ飛んだ理由は、もうひとつあります。英雄ホン・ギルドンを演じたカン・ジファン(Kan Jihwan)さんの顔を見て、「あ、私の最終フェイス!」と、胃腸にジ〜〜ンと来てしまったからです。

「最終フェイス」とは何か?

「最終フェイス」とは、小林よしのりさんの傑作漫画の題名でありますが、私は私なりの勝手な意味で、この言葉を使います。「もうこれ以上の好みの顔は、人生で出現しないであろうという確信を持たせる顔」が、「最終フェイス」であります。

ですから、「最終フェイス」は、若い頃には出会えません。価値観や美意識形成中の時期には、出会えません。「自分の好み」を模索中の20代や30代には出会えません。40代でも無理だと思います。

しかし・・・やっと私は出会うことができました。私の最終フェイスに。おめでとう、私。

小林旭さん、中村敦夫さん、山崎まさよしさん、チ・ジニさん、ついでに夫を含めた、今までに「いいじゃん」と思った超数少ない男性の方々の顔を全部シャッフルして、進化させたような男前が、カン・ジファンさんです。

そこに、1980年代の香港ノワールの大スターであったチョウ・ユンファさんの大らかな男らしさと陽気さと哀愁とユーモアを混合させて、もっと清らかにしたのがカン・ジファンさんです。笑顔が、ほんとに清らかです。

あなた、いまどき「清らか」なんて形容詞をつけるのにふさわしい顔なんて天然記念物でっせ。人間国宝でっせ。宇宙人でっせ。

私が観察するところ、この人、油断すると太るタイプです。顔が丸くなったり、ちょっと細くなったり、体重の増減によって印象が変わる人です。しかし、デブっても、清らかです。細くなっても、清らかです。私は、ちょいデブくらいの方が好きだなあ。

私は、この人のことを全く知らなかったのですが、すでに日本では公式ファンクラブも発足されていて、前々からかなりの人気者だったようです。映画でも活躍し始めて、『映画は映画だ!』という面白いタイトルの映画の主演をして、2009年の韓国の映画祭の新人賞を総なめしたそうです。

カン・ジファンさんは、「日本における韓流スター」の布置としては、ヨン様の後継者らしいです。韓国においては、カン・ジファンさんは、ちゃんと兵役を終えてデビューしたので、兵役を終えていないヨン様より、受けがいいようです。

ヨン様はやんごとなき大輪の牡丹の風情ですが、義賊&革命家ホン・ギルドンが似合うカン・ジファンさんは草原のコスモスです。民さんは野菊のようだ(って、わかる?『野菊の墓』ね)。ジファンさんは大空を飛んで行くタンポポの種のようだ。やはり、王子様ではなく自由な渡り鳥なのね、大企業の社員や公務員ではなく独立自営農民なのね、私の好みは。

カン・ジファンさんは、1977年生まれの32歳です。これからだよね〜〜♪と、私が夫に言ったら、夫が「息子ぐらい年が離れているのに・・・」と私の恋を嘲笑いました。

だから何?妄想の恋に年の差はない。50歳離れていても平気。3世紀離れていても平気。8万光年はなれていても平気。それに無料。

本物の美男美女にいたらない程度のチンピラ・アイドルだと、30代そこそこで、不細工になり光を失いますが、本物の美男美女が、真に美貌の光を放つのは、30歳過ぎからです。美貌の頂点は47歳か48歳くらいかなあ。ですから、カン・ジファンさんは、これから15年間ぐらいは、私にとっての「最終フェイス」でいてくださるでしょう。ありがたいことでございます。

15年過ぎたらどうなるかって?きっと、70歳ぐらいになった私は、「究極フェイス」に出会うでしょう。その頃には、世界はどうなっているのかな?1ドルは10円くらいになっているのかな?副島隆彦氏が予言なさるように、中央アジアはカザフスタンに世界中央銀行ができているのかな?中国は、着々と帝国を築き、人権国家にもなるべく邁進中かな?

その頃には、エネルギー革命が起きていて、日本も活性化されているでしょう。天下りは消えているでしょうが、官僚の腐敗は新手のものが顕在化しているでしょう。税金という収奪と、その浪費は、まだまだ続いているでしょう。日本リバタリアン党は結成されているのか?イスラエルとイランは、いつ武力衝突するのか?戦争ほど損なものはない。核兵器なんか使うな。ユダヤ人ならば、真に利己主義になりなさいよ。徹底した利己主義者は平和主義者にならざるをえないよ・・・

最終フェイスの話に戻ります。すでに、カン・ジファンさんの日本でのファン・ミーティングのDVDも、2008年版、2009年版と販売されているのでした。私は、早速、2009年版ファン・ミーティングDVD全7時間30分を取り寄せて視聴しました。2009年の7月には、神戸会場には2000人のファンが、東京会場には5000人のファンが集まったのでした。ファンの歓声とノリは、圧倒的に神戸会場の方が凄かった。やはり関西の女性たちです。

しかし、ファンの人たち、オバサン&オバアサンばっかりです。最年少で30代半ばという感じ。最年長は80代って感じ。いや、ほんと。ここまで日本のファンがオバサン&オバアサンばっかりだと、カン・ジファンさん可哀そうかも。

自分もオバサンのくせに、舞台に立って5000人のオバサン&オバアサン視線を一身に浴びたカン・ジファンさんの身になって想像して、一抹の寂寥(せきりょう)を感じた私。スターも大変です。

ま、しかし、ジファンさん、日本のオバサン&オバアサンを味方につけておくといいですよ。日本のオバサン&オバアサンは、移り気じゃないし、誠実だし、気が長いし、あなたのDVDを全部購入するぐらいのカネは持っているし、いつまでも応援してくれます。たとえ膝が痛くて「皇潤」飲んでいても、真心と歓声だけは若い女の子に負けていません。

ちなみに、私はまだ「皇潤」は飲んでおりません。飲んでたまるか。

聞くところによりますと、韓国の芸能界は浮き沈みが激しくて、韓国のファンは、3カ月ともたないというではないですか。すぐに他のスターに目移りするというではないですか。日本のファンは、活力がない分、それほど移り気ではありません。特に女性は、一度好きになると、他のスターを好きになっても、それはそれでいいじゃないの、ということで、並行させて「好き」を継続させます。律儀というか、引き出しが多いというか、手放さないというか、惰性というか。

長年、男性たちを眺めてきて、日本のオバサン&オバアサンは、「男は、やっぱり可愛げやね。カネでもないし、地位でもないし、学歴でもないね・・・」と、しみじみ思う悟りに達しております。私のように、若くしてその悟りに達した女もいれば、還暦過ぎて、やっとその悟りに達した方々もおられることでしょう。

退職後に、無為に日々を送り、家事もせず、食うだけは大量に食い糖尿病になり、小言&無駄口&愚痴は多いのに話が退屈で、ユーモアの欠片(かけら)もなく可愛げもなく、加齢臭で無神経で不細工で、そのくせお肌の手入れは全くしないので年々歳々醜くなるばかりの、しかしそのことに無自覚なジジイ亭主は、財産と年金を残してサッサと死んでくれ・・・離婚するのは面倒くさいから、早いところ死んでくれ・・・・

・・・と、複数の女性たちが、そう言うのを、実際に直接に耳にしたことがある私。

亭主がそんな老人になることは、結婚する前にシビアに観察しておけば予測がつくはずですが。カネや学歴や勤務先の会社のブランドや肩書で男を選び結婚する女が後を絶たないのは、結婚相手(男)を働かずして食うための便利な道具としてしか考えない女が後を絶たないのは、なんでなのか、私にはわかりません。今の20代の女性には専業主婦願望が極めて高いそうです。これも、よくわからん現象であります。

あのね、日本の女性のみなさん、あなた方は、ご自分で思っているよりも相当にエネルギー高いし強いです。そのエネルギーをガンガン発散させて生きないと、カン・ジファンさんのファン・ミーティングに出かけて大騒ぎするはめになりますよ。カン・ジファンさんとはいえ、所詮は他人ではないですか。ご自分の人生を生きないと、死ぬ時に元気に悔いなく死ねないのではないでしょうか?

その日本の女の、いつまでも他人をあてにする不完全燃焼の人生の問題はさておき、その程度の日本の女にふさわしい程度の日本の男の問題はさておき、ともあれ、日本のオバサン&オバアサンは、戦後の平和日本の高度成長期を生きてきたので、いろいろなものを見てきた経済的余裕もあったので、美意識もある程度は洗練されております。

だから、最近の日本の芸能界における清らかなる硬派の美男子の絶望的払拭(ふっしょく)に心を痛めております。美貌であれ、日本。下司(げす)なイケメンなんか、いらんわ。すれっからしの歌舞伎役者なんか、いらんわ。

カン・ジファンさんは、そういう眼識ある、しかし美の化身に飢えた日本のオバサン&オバアサンに選ばれたのです。自信を持って精進してください。あなたが、清らかで可愛げのある大きな明るさと、プロとしての芸能人としてのサーヴィス精神を発揮している限り、日本のオバサン&オバアサンは、あなたを大切に支持し続けます!!

ここで、私が日本のオバサン&オバアサンの代表みたいに宣誓してもいいのか?まあ、いいだろう。

それにしても、韓流スターに詳しい同僚が言った「カン・ジファンって、船越英一郎に似てない〜〜?」という言葉は、まったくもって許せません。世の中には、言っていいことと悪いことがあります。

ところで、いい加減、ここらで本題に入らなくてはなりません。最近むかついたことを書かなければなりません。前編を書いたのですから、後編を書かねばなりません。

しかし、『快刀ホン・ギルドン』に夢中になり、カン・ジファンさんの清らかで明るく澄んだ美貌に癒され、さらに、眠りに眠った日々が過ぎると・・・私がかかえていた「むかつき」が消えてしまっていました。

うだうだ眠っている日々に、毛布と布団に抱きつきながら、私はいろいろ思いました。私は何も発明しないのに、何も作らないのに、誰かが私の親友であるテレビを発明してくれたし、海の向こうの誰かがこんな面白いドラマ作ってくれて、誰かがDVDなんか発明してくれて、「私の最終フェイス」をいつだって拝むことができる。その清らかな「私の最終フェイス」だって、海の向こうの同世代の女性が産んで育ててくださった。

風邪で寝込んでいても簡単に作れる冷凍食品も誰かが発明してくれたし、冷えた身体を温めてくれる生姜湯の生姜も黒砂糖も誰かが栽培してくれたものだし、そもそも風邪症状がきつくなり始めた11月30日の夕食は社会人聴講生の方の差し入れのお弁当だったし、翌日の夕食は、金沢の古書店Duckbillさんが送ってくださった薩摩芋だったし、おかゆに入れた梅干しは中学からの友人が作って分けてくれたものだったし、おかゆに使った丹波のお米も、懇意のA画伯からの、いただきものだし。

本日、ひさしぶりに洗濯もしましたが、洗濯したのは私ではなく洗濯機と洗剤。洗濯物を爽やかに乾かしてくれたのは、冬の太陽と風。洗濯バサミ、ひとつさえ、私は発明しなかった。

私は何もしていない。すべて人さまのおかげ。私は世界からもらうばかり。

いったい、この私に何をむかつくことが、ありましょうや?

「なんか理不尽だよなあ・・・フェアじゃないよな・・・こういうのってさあ・・・ただ働きだよな・・・・私、ヴォランティア趣味はないのに、なんか、いつも、こういうはめになるよな・・・」と、ブチブチとくすぶっていた思いも、これも寝込んでいて、さぼっていたトイレ掃除を再開したときに、便器にほとばしる水(水洗の水ですよ)と共に流されていきました。

そうか、私の疲れは、風邪は、私の邪気が呼び寄せていたのか。私の愚劣さの毒が呼び寄せていたのか。

もらってばかりのくせにグダグダ言うな!いくらでも「ただ働き」すればいいんだ!働けるのならば、いいじゃないか!どうせ何もできないくせに、何の役にもたたないくせに。せめて、自分にできることを探して、黙々とそれをやれって!使ってもらえるのならば、使ってもらえって!

というわけで、今回の「最近むかついたこと(後編)」は、「むかついたこと」抜きとなりました。悪しからずご了承ください。

あ、むかついた?

ちなみに、BSフジの木曜日の午後7時から放映されている、これも韓国時代劇の『善徳女王』もいいですよ〜〜「ソンドク女王」と呼ぶのだよ。朝鮮の歴代の王朝において女王というのは、古代新羅(シンラ)の3人の女王しかいませんが、最初の女王が、このソンドク女王です。4世紀の古代新羅(シンラ)を舞台にした王宮権謀術数ドラマです。女王と徹底的に敵対して王宮を牛耳る美室(ミシル)という名の、側室上がりで、後宮から王宮を牛耳る、王をも凌ぐ権力者を演じる女優さん、コ・ヒョンジョンさんが、非常に美しいです。

自分の(こっそり作った)夫だろうが、(こっそり何人も産んだ)息子だろうが、部下だろうが、なんでもかんでも酷薄冷血に利用して、こりゃ使えんわ・・・と判断するとサッサと処分して平気な徹底的な悪女を演じて魅力的です。この種の女性を、あくまでも美しく演じることができる日本の女優さんって、いるのかな。

若き王女トンマンは、名実ともにソンドク女王となるまで、この後宮の実力者の美女と死闘を重ねる運命なのであります。若き王女も美しい!!美室(ミシル)という冷酷オバサンも妖艶で美しい!!

『失楽園』だか『チツ楽園』だかの、50代の失業男につきあって30代終わりの美女が、やりまくって心中するという超くだらない荒唐無稽な小説(30代美人が負け犬50代男なんか相手にするか!)を書いた渡辺ナントカという名の元医者のたれ目の作家が、ヨン様に熱狂する日本のオバサンたちのことを、「充実した性的生活を送っていないのだろう」とか新聞で書いていたことがあります。こいつ、ほんとに馬鹿だな、と私は思った。

あのね、日本における韓国ドラマの人気は、そーいう好色暇人セックス依存症の軽薄不細工ジイサンが考える水準の話ではないの。

なんで、韓国のTVドラマは面白いのか?特に歴史劇は面白いのか?この面白さは、アメリカのTVドラマの面白さとも違います。韓国のTVドラマには、「物語力」への信仰が残っています。物語によって世界をより良く変えたいという、真の「文学力」が、生き生きと熱々に息づいています。

私は、小倉紀蔵(おぐら・きぞう)氏の『韓国は一個の哲学である--<理>と<気>の社会システム』(講談社現代新書、1998)を、やっと読み始めました。

あ・・・興奮したら、また熱が出てきました・・・・