書評    Almost Monthly Book Review
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■2002年6〜8月に読んだ本から

田中宇
『米中論----何も知らない日本』
光文社 2002.6 \700


アメリカと中国は、歴史的にはいつも相愛関係にあった。だから、現在の不和関係らしきものも額面どおりには受け取れない。本書は、その歴史的経緯を解き明かす米・中関係にまつわるミニ近現代史である。中国という巨大市場が狙いの親中国派資本家勢力と、敵がソ連だろうが中国だろうがイスラムだろうが、あくまでも冷戦構造を維持したい産軍複合体勢力のアメリカ政治闘争史でもある。地域間経済格差是正や民主化、自由化志向への対処や、台湾問題など内部に課題を山積させる中国共産党独裁政権の闘争史でもある。「(アメリカに仕組まれた)世界からの孤立化」を回避するべく国際政治で駆け引きを展開する中国人はすごい。中国人の性格のとてつもない悪さは、ほんとマヌケな日本人としては見習いたいよ。

著者の田中さんは、「対米従属と反中国の傾向」を強めている日本人を危惧しているのだけど、大前研一さんも、アメリカに進出した日本企業の方が、中国に進出した日本企業より、とことんひどい目にあったのに、なんで中国のやり口だけ、そうも非難するんだ、なんでアメリカのことは非難しないんだ?と言うようなことを言っていた。やはり、中国に関しては、どこかなめているから、してやられるとむかつくが、アメリカ相手だと、やはり白人からはアジア人は翻弄されてもしかたない・・・と納得してしまうのかな。


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