書評    Almost Monthly Book Review
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■2002年6〜8月に読んだ本から

岩月謙司
『無神経な人に傷つけられない88の方法』
大和書房 2002.5 \1400


本書の題名は「無神経な人を理解する88の視点」としてもいい。「心の感度の高い人間が獲得するべき88の知恵」としてもいい。「自分の傷つきやすさを恥じないで生きるための88の洞察」でもいい。本書は、どこかの馬鹿で傲慢で幼稚な心理学者(だいたいが人間音痴で馬鹿ってのが心理学者だと思わない?)が自己省察はそっちのけで、他人のことを偉そうに裁いている類の浅はか極まりない駄本のひとつでは断じてない。愛情と明察あふれる人間知にあふれた人生論です。生きるのに本当に役立つ実践的な本です。

たとえば、「88の方法」の32番目は簡単で確実な人間鑑別法だ。ある人間と会った後しばらくしてから、あなたがなぜかさみしくなったら、そいつと関わるのはまずい。そいつのマイナスのエネルギーが伝染したのだ。これ、あたるよ。私なんか、今まで何とかだいたい無事に生きてこれたのは、出会った人間で、「?」と感じた人間とは、老若男女問わず本気でつきあわなかった、ということに尽きる気がします。こいつと仲良くしておけば得だからとか、見てくれとか、地位とか学歴とか財産とか、そういうことで判断せずに、ただただ自分の直感を信じてきた。こういう生き方は、人間関係のストレスがなくていいよ。嫌な人間とは離れている。わざわざ嫌いな人間を理解しようとか、愛そうとかの、無駄な努力は払わないの。他人信じてこけるよりも、自分を信じてこけた方が、納得いくしね。

この著者の『自分にウソをついて何になる』(ドリームクエスト)も、面白いよ。日本人を縄文人と弥生人に別けて考えるのは、あまりに大雑把な気もするが、説得力あるんで、つい納得してしまった・・・


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