書評    Almost Monthly Book Review
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■2002年11〜12月に読んだ本から

テイル・ドーデン/野津智子訳
『仕事は楽しいかね?』&『仕事は楽しいかね?2』
きこ書房 2001.12 \1300 / きこ書房 2002.7 \1300


アメリカ人と言えば、やたら効率のいいコスト・パフォーマンスの高い生き方を求める抜け目なくも単純な国民と考えられがちだが、日本人なんかより、よほど真剣に人生を考えるし、人生における仕事の意義を考える。そういう意味で、アメリカ人の真面目さを思いださせる志の高い好著。アメリカ人とアメリカ政府は別だから、混同しないように。私たち日本人だって、日本政府といっしょくたにされたくないだろうが。

原題を直訳すれば『マックスの戦略』。続編の方が面白い。順調で多忙だが仕事に喜びが見出せない35歳のビジネスマンに、マックスという不思議な老人が深夜の空港で語る「仕事と人生の関係」。および「仕事と人間関係」。まあ、これ読んだからといって、自分の仕事が楽しくなるわけでもないよ。ただ、人生って仕事しかないからね。専業主婦は家事しかないよ。ほかに、人生でやることなんかない。遊んだって退屈だよ。仕事は適当で、あとは趣味にエネルギーを注ぎたいから公務員になります、なんて馬鹿なこと言う学生が、たまにいるけど、ほんと馬鹿だよな。一日の3分の1以上の時間を費やすからには、徹底的に仕事に関わって、愛して、仕事を趣味にしないと、人生そのものが空虚になる。私なんか、仕事しか趣味ないもん。趣味は仕事だもん。24時間、仕事だもん。だから、私は幸福なの。まあ、そういうことを、あらためて考えさせる本であります。


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