書評    Almost Monthly Book Review
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■2002年11〜12月に読んだ本から

リタ・エメット/中井京子訳
『いまやろうと思ってたのに・・・』
光文社 2001.4 \1300


原題を直訳すれば『グズのハンドブック』だ。「グズって何?」「なぜグズグズするのか?」「グズ克服完全マニュアル」の三部構成である。人をしてグズにさせる数々の恐怖の分析は納得がいく。煎じ詰めれば、「完璧にできないならば駄目だ」という理由で行動が遅れる。しかし、「全部やりたい超関心クズ」というのもある。絶えず新しい対象に心奪われて熱中してしまうので、仕事の着手や完了が先延ばしになる。あ、これ私だ。

つまり、グズは単なる怠惰ではなく、向上心ゆえに生じる停滞?人生に対する期待の大きさの逆説的あらわれ?対策は、「仕事の計画を立てる計画を実行」して「捨てる技術を身につける」こと。「仕事を引き延ばすことは、片づけることより倍の時間とエネルギーを要する」という法則を忘れないこと・・・いや、ほんと全て納得することばかり。確かに、残り時間の少ない中年のくせに、まだ「グズ」ってのは、どうしようもない。人生への冒涜だよな。私は、年取るにつれて仕事が早くなってきた。人生の締め切りを意識するようになると、私みたいな「グズラ」(と若い頃言われていた)も、テキパキ風になるんだなあ。


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